牛の内臓と言えば焼肉屋のメニューの定番ですよね。
タン(舌)、ハラミ(横隔膜)、レバー(肝臓)、ハツ(心臓)、テッチャン(大腸)、コプチャン(小腸)などなど
他にも最近では多くの部位が楽しまれていますね!
今回はそんな牛内臓について解説します。
牛内臓とは?
内臓とは動物の体腔に納まっている器官の総称。
気管の役割によって消化器、呼吸器、泌尿器、心臓、血管系等に分けることが出来る。
・消化器:シキン(食道)、ミノ(第一胃)、ハチノス(第二胃)、センマイ(第三胃)、ギアラ(第四胃)、コプチャン(小腸)。テッチャン(大腸)、肝臓(レバー)、脾臓(チレ)等
・呼吸器:ウルテ(気管)、フワ(肺)
・泌尿器:マメ(腎臓)
・心臓:ハツ(心臓)
・血管系:コリコリ(動脈)
タン(舌)、ハラミ(横隔膜)、ブレンズ(脳)、ツラミ(ホホ)など、上記に当てはまらないものも内臓と分類することが多い。
このブログ上では、屠畜副産物から原皮を外した残りを屠畜副生物とし、
そこから骨や血液などを取り除いたものを内臓(ホルモン)と定義しています。
(この線引きが少し曖昧なので、地域などで違っていたら指摘してください。)
牛一頭からどれくらいの牛内臓が取れるのか?
日本畜産副産物協会の資料(和牛・黒毛和種・肥育・去勢)によると
生体重量689kgの重さで枝肉重量428kgの場合、43kg位の内臓(可食一類)が取れると言われています。
更に可食二類の内臓を合わせると65㎏位の内臓が取れます。
不可食内臓に分類されいますがチレ(脾臓)なども合わせるともう少し取れそうです。
一番大きい部位はミノ(第一の胃)で10kg前後あり、容量は100リットル、とも180リットルともいわれています。
(牛の胃の大きさは次いでセンマイ(第三の胃)、ギアラ(第四の胃)、ハチノス(第二の胃)となります。)いかに大きな部位かがわかります。
ただし、ほとんどの部分が固くて一般的な商品になりづらいため、
一般的には肉厚なマウンテンチェーンと言われる1.5kgくらいのいわゆる上ミノの部分が主流です。
ミノに関しては国産よりも外国産(アメリカ、オーストラリアなど)の牧草を食べて育ったグラスフェッドビーフのミノの方が肉厚で良いとされています。
次に大きな部位はレバー(肝臓)でついでコプチャン・マルチョウ(小腸)、ハラミ・サガリ(横隔膜)、大腸(テッチャン)と続きます。
ちなみに平成13年9月の牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)発生後から、
特定部位(頭骨、脳、眼球、脊髄、回腸遠位部)は屠畜場内もしくは産業廃棄物処理施設での焼却が義務図けられている。
その為一般的には日本で出回ることはありませんが、海外ではいまだに食べられるところもあるようです。
牛内臓の使い道は?
基本的に牛の内臓は食用で使われています。
内臓は屠畜解体に伴いその都度発生する為、需給を調整することが難しく、保存性が低く商品劣化もはやいです。
肉は近年の熟成肉ブームなど、熟成させた肉の方が旨味が増して美味しいと言われていますが、
内臓に関しては鮮度がとても大事なので新鮮なものほど美味しいです。
近年冷凍技術の発展により冷凍での商品化も増えたり、輸送技術の発展により鮮度の良いものが素早く届くようにもなりました。
内臓の清掃技術の向上により出荷時の商品状態もとてもよくなっています。
内臓は取り出してからの清掃の仕方で味がかわります。時間がたつと臭いが取れづらくなります。
内臓以外の屠畜副産物に関しても
骨:スープ・エキス・ゼラチン・コラーゲン等
脂肪:牛脂(ヘッド)等
原皮:ゼラチン・コラーゲン・革製品等
血液:ハム・ソーセージ等
色々な使われ方をしています。
牛内臓の栄養ってどんなものがあるの?
牛の内臓はとても多くのたんぱく質を含んでいます。
特に焼肉などでよく食べるレバー(肝臓)、ハツ(心臓)、タン(舌)は牛肉よりもたんぱく質が豊富です。
他の部位もたくさんのたんぱく質をふくんでいます。
たんぱく質量
レバー100g/19.6g
ハツ100g/16.5g
タン100g/15.2g
レバーはヒレに匹敵するほどたんぱく質が豊富です。
カルシウムが牛内臓でもっとも多いのはセンマイ(第三の胃)です。脂質も低くたんぱく質もとれてとても優秀です。
次いでアキレス(腱)、ミノ(第一の胃)、コプチャン・マルチョウ(小腸)と続きます。
カルシウム量
センマイ100g/16mg
アキレス100g/15mg
ミノ100g/11mg
コプチャン100g/7mg
他にも栄養がとても豊富でセンマイなどはカロリーも低いのでダイエットなどにもおすすめです。